昨日、漢検を受けた会場で目にした光景をこのようにつぶやきました。
今日の漢検の会場では、親が子どもに「何でいつまで経っても覚えないわけ?」と詰め寄っている光景をいくつも見た。子ども達は萎縮しているか、反抗した目をしているかのどっちかだった。もし自分が英検1級の単語の勉強をしている時に隣で同じことを誰かに言われたらと思うと、ゾッとした。
— ガジェット好き弁護士の中学受験奮闘記 (@71I6XBD1c9HuTE5) 2018年10月14日
何かを覚えるためには、繰り返し思い出す必要があります。エビングハウスの忘却曲線はあまりにも有名です。特殊な能力を持っていない限り、人は覚えたことも忘れていくのです。
まず、「人は忘れるものである」という前提に立たなければいけません。その上で、忘れ難くするにはどうしたら良いかを考えるべきです。漢検の会場で見かけた親達が「忘れたこと」を非難しているのは、実に的外れです。
記憶の基本は、まずは意識して覚えること、その作業を繰り返すことです。物事を覚えようとする時には、まずは覚える物事に注意を向けなければなりません。昨日の夕食の献立を忘れてしまうのは、覚えようとそこに注意を向けていないからです。
子どもの学習で注意を促すとしたら、覚えようと注意を向けていないような状況が見受けられた時だと思います。ただ、多くの親は注意を向けないように気づかないうちに仕向けてしまっています。それが「必ず○回書きなさい」というやつです。
何回書くという目標設定がされると、まず目標回数を書くことに注意が向けられます。そのため、「覚えよう」ではなく、「書こう」という意識になってしまうのです。つまり、単なる「作業」となってしまいます。
単なる作業になってしまうと、覚えようという意識が薄れてしまい、記憶に留め難くなってしまいます。「覚えよう」と意識して書くのであれば、2、3回が限界だと思います。それ以上書かせると、作業となる恐れがあります。
しかし、2、3回書いたら覚えられるという訳ではありません。上記のとおり、それを繰り返す必要があります。前に、以下のようなつぶやきをしました。
記憶の仕組みを知っていたら、「あの時何度も練習した漢字を何で間違えるの!」などと子供にキレることが無意味だと分かるはず。その時に何度書いたかではなく、その時から何度触れる(書ける)機会があったかが重要。
— ガジェット好き弁護士の中学受験奮闘記 (@71I6XBD1c9HuTE5) 2018年10月7日
つまり、忘れた頃に復習をするということが大切です。2、3回書いて、その時点で書けるようになれば、まずは問題ありません。そして、(理想的には)その日の夜に一度思い出し、次の日の朝に復習し、次は4日後、1週間後というように、思い出す間隔を空けていきます。1週間後に思い出せなければ、その翌日に復習する、というようにすることで、まだ覚えていないものについては復習間隔を短くします。
人にはどうしても覚えやすいものと覚えにくいものがあります。英単語の勉強をしていた時のことを思い出してもらえれば分かりやすいと思いますが、どうしても何度も間違えてしまい、なかなか覚えられないものがあるものです。それは人によって異なります。この点は子どもも一緒だと思います。必ずしも簡単な漢字が覚えやすく、難しい漢字の方が覚えにくいというわけでもないと思います。ここで重要なのは、覚えにくい漢字については、復習する機会を何度も与えてあげるということです。
そのための仕組みとして、Ankiというアプリを使うのはオススメです。エビングハウスの忘却曲線を意識した学習が大切なことを理解していたとしても、実践するにはハードルが高いという問題があります。漢字の一つ一つについて、習熟度に応じた復習の適切なタイミングを与えるのは大変なことは想像がつくのではないかと思います。ただ、今はアプリケーションで簡単に管理することができます。これを使わない手はありません。
なお、Ankiを使った漢字学習の具体的なやり方は、下記の記事をご参照ください。
Ankiは、漢字学習だけでなく、いわゆる暗記モノについては全て応用が効く優れものです。娘の学習のために、これからもドンドン活用する予定です。
なお、記憶については、繰り返すことが基本ですが、他にも長期記憶をするために効果的な方法もあるので、また別な機会にそのことも書いてみようと思います。